TV報道音声の仕事について
TV報道音声の仕事について
皆さん、はじめまして。
コスモ・スペース札幌支社で音声技術を担当している花田と申します。
現在はSTV(札幌テレビ放送)の報道で音声の業務に就いています。
報道では取材の撮影が主な業務で、音声マンは収音を担当します。
カメラマンと取材に同行し、出演者の声・環境音などをマイクを使って拾い、映像とともにカメラに収録します。現場で人間の耳では聞こえて理解できたとしても、テレビの放送で使えるためには鮮明な音を拾っていなければなりません。
カメラ本体のマイクも本当に優秀な性能のものが増えていますが、必要となれば小さな音(料理がぐつぐつ煮える音、缶ビールを開けるときの音など・・・)を拾ったり、複数の音を現場でミキシングしたりと、人の手で工夫して音を拾うことはまだあると思います。
また、撮影した映像は報道番組のオンエアー時間に間に合わせなければなりません。
これが突発的に事件・事故が発生などした場合、撮影した素材をテレビ局に持ち帰るまでの時間が惜しいとなれば、現場からインターネット回線を通して素材を伝送します。Wi-Fiを通じてテレビ局のサーバー上のファイルに素材を投げ込むこともしますが、最も重宝される手段がLive-Uによる伝送です。Live-Uは、ほぼリアルタイムでの映像・音声の伝送ができるため、オンエアー中に中継としてのせることもできます。
最近では、コロナ禍の影響でソーシャルディスタンスの実践が叫ばれるようになり、テレビ番組でもリモート出演を頻繁に見るようになりました。北海道でも緊急事態宣言の期間中は、取材クルーが今までのように札幌市外へ出向いて撮影をすることが憚られるようになり、リモートによるインタビュー取材が激増しました。スポーツ取材でも、選手・監督のインタビューはモニター越しに行われるのが通常となりました。
写真は、リモート撮影方法の例です。
オンラインアプリの普及によって取材先の方から映像と音を発信してもらい、その映像と音声を別々に取り出して収録機で収録しています。ZOOM、LINE、Skypeと様々なアプリがありますが、その中から先方に任意に選んでもらっています。当初はPC上でやりとりした様子をそのまま画面収録する方法を試しましたが、アプリの種類によってはセキュリティが作動し、音声だけが取り出せないことがあるためこのような方法がベストとなりました。コロナ禍が去った後も、このようなリモート取材が一般的に使われるようになるのかもしれません。
来年、この現場でリモート撮影機材が活躍することを願って…。