データマネージャーって何?

データマネージャーって何?

おはようございます! 制作技術本部 撮影コ—ディネ—トグル—プ の田尻です。 撮影現場のお仕事紹介シリ—ズ第5弾は、
撮影現場には近いところにいるけれど、現場で働くことはほとんどなく、それでも最近、重要なポジションを担う職種になってきている “データマネージャー(DM)”についてお話してみようと思います。

■そもそもDMって何?

大きく分けて、下記のような役割があります。

1:現場で撮影された映像データを複製・バックアップする
撮影された映像デ—タが記録されているメモリ—カ—ド(これを僕らは「撮済み(さつずみ)」と呼んでいますが)にもし何かが起こって中のデ—タが消えてしまった!...ということがおきないように、撮済みをできるだけ速やかにほかの記録メディアにコピーして、映像データをバックアップするのが大きな仕事のひとつ。


2:撮影された映像に不具合・不都合が起きていないかをチェックする
さて、そのコピ—された映像デ—タがちゃんと再生できるか・再生中にノイズとかが出ていないか、という技術的なところから始まり、撮影された映像に(俳優さんたちが演技しているシ—ンにスタッフが映り込んでいないか・物語的に写っていたらおかしいものが写っていないか)等の所謂"バレもの"などが写っていないか、という作品の内容に関わるような部分のチェックも同時に行っています。


3:現場で記録されたカメラに関するデータ・カット番号等の情報をとりまとめる
いろんなものがデジタル化されたことにより撮影時に映像だけではなく、その時カメラに付いているレンズの種類・フォ—カスや絞りの位置・カメラの角度の情報とかも同時に記録されるようになりました。
これらの情報(最近ではメタデ—タと呼ばれるようになったものです)もVFX等の工程で欠かせない情報になりつつあり、映像デ—タと共に管理するようになってきました。
撮影現場でDITが記録してくれた情報だったり、記録さんからのシ—ン・カット・テイクNo.といったものもメタデ—タとして扱われ、この段階でDMがとりまとめたりします。


4:撮影された素材から編集・現場確認用など軽いデータを作成・アップロードする
コピ—もした・いろんな他のデ—タもまとまった、さてこれをポストプロダクションのチ—ムに「本日の撮影分で—す」ということで渡すところになるわけですが、先述の通りいまや撮影素材も「デ—タ」です。
インタ—ネットでぜんぶまとめてド—ン! と送れてしまえば楽なのですが、実は最近の撮影デ—タって膨大で、一日の撮影素材デ—タ量って数TBほどあるのです。
これをまとめてネットで送るのは膨大な時間がかかることになるので、それぞれの部署で取り扱いが容易なデ—タ量や方式に合わせて撮影素材から変換する作業が入ります。

だいたいこの作業でデ—タ量が1/20くらいまで小さくなるので、その状態でポストプロダクションチ—ムに向けて「本日の撮影分で—す」とアップロ—ドするわけです。

■ホテルで作業部屋を作るとこんな感じの仕事場になります。
ワ—クステ—ション一式・素材収録用のHDD・液晶TVなど含めると機材車一台分くらい。

このDMというお仕事、日本においてはCM・PV等のショ—トタ—ム作品になるとDITが兼任することが主流だったりしますが、映画・配信系シリ—ズ作品などにおいては取り扱う デ—タの種類・総量が大きく、作品に関わる期間も1ヶ月から6ヶ月くらいの⻑期にわたり、ロケ隊が宿泊している宿泊施設だったり撮影現場に近い場所にクルマで乗り込んで作業するということがほとんどなので、専任のDMがアサインされるということが増えてきました。


■ところでDITって何? と思われた方はこちらも読んでみてください!

撮影されてからのデ—タを取り扱う仕事なので、撮影現場の最前線にいることは少ないですが、劇場や家のテレビで流れる作品のエンドロ—ルに名前がクレジットされたりすると、「いろいろあったけどよう頑張ったオレ」としみじみしながら、また次の作品にとりかかるのであります。


Text by
制作技術本部
撮影コーディネートグループ田尻 浩司