ニューノーマルのオンラインライブやイベント、実際にはどうやれば?

新型コロナウイルス感染の状況が続き、以前のようなリアルの接点を持つことがますます難しくなっています。必然的にインターネットのコミュニケーションツールを使ってオンラインイベントにシフトしようという流れが加速しています。
オンライン会議のツールを使えばPC一台でもスマホ一台でもコストをかけずに「オンラインイベント的」なことは可能です。
ただ、人数の制限や接続時間などの制約もあるので満足いく形には遠いでしょう。そもそもイベントとしてオーディエンスに楽しんでいただくにはクオリティも担保したいところです。

そこでこの記事では、昨年の緊急事態宣言が発令された中で急遽企画・実施された「オン飲みのライブ中継」のプロジェクトをご紹介し、具体的な課題のイメージや乗り越えた先に広がる可能性をお伝えできればと思います。

事例:SAPPOROオンライン飲み会 おうち居酒屋LIVE☆ ~恵比寿名店の逸品レシピを学ぼう~ より

おうち時間×お店の応援

“ステイホーム”のおかげで自粛疲れが目立ち始めた頃、同時に飲食店も苦境に立たされていました。サッポロビール様から、その両方をどうにか応援したい!ということで、こんな主旨の企画のご相談をいただきました。

「おうち時間」をすこしでも豊かにし、飲食店のみなさまも応援するために
・ビールの街「恵比寿の名店」から
・おうちでも簡単に作れて美味しいおつまみレシピを
・生中継で教えてもらって
・みんなでオンラインで乾杯!

つまり、私たちの仕事として言い換えると、

料理の様子を「実演ライブ配信」して、オーナーとユーザーがオンラインで乾杯するインタラクティブなコミュニケーションを実現する。

ということになります。
言葉としてはそれほど難しさはないのですが、実際にはいろいろとハードルがあります。

作戦タイム

さて、冒頭で触れたように“制約の存在”を考えなければ、簡便な方法はいくつもあります。しかし、この企画の目的から考えると視聴人数も多く、コンテンツとしても一定のクオリティを担保しなくてはなりません。

そこでまずは作戦タイムです。
何はともあれ内容が大事なので、飲食店のリサーチに始まりご紹介するおつまみレシピの検討、台本への落とし込みなどのコンテンツ。

インターネット回線なので人数が多すぎるといろいろ支障がありますが、やるからには多くの人に見ていただきたいので、告知用のWebページの制作も必要です。

そして今回はMCの方も“ステイホーム”につきご自宅から進行するかたちのため、お店とMCをつなぐ二元中継になります。その技術検証も並行して進めていきます。

平時であれば会議室に集まってワイワイガヤガヤしながら進めるこのようなタスクを、半分リモートで進めていきます。

トラブルは乗り越えるもの〜イベント当日〜

もろもろの準備を整え、当日をむかえます。

システムの構成は必要最低限のシンプルなもの、スタッフも感染対策に気をつけながら美味しいビールのために、いや、「おうち時間」を充実させるために万全の体制を整えます。

それでもやはり予期せぬトラブルはつきものです。
MCの方の音声がエコーしてしまったり、お店側に音声が届かなかったり。どうにか現場の経験値で乗り切り、乾杯のシーンにたどり着く頃にはスタッフの喉はカラカラ。
「乾杯!」のテロップを出した瞬間にスイッチャーの喉がゴクリとなったとか。

当日の動画アーカイブはこちらからご確認いただけます。(この記事を読んだ後では現場のドタバタ感がわかり過ぎてしまうかもしれませんが)

こちらが5月2日、vol.1の中継。
こちらが5月5日、vol.4の中継です。

反省点リスト

企画のスタートから実施まで時間が無かったこともありますが(言い訳)、やってみてわかった反省点はいくつもあります。ここから得た学びは次に活かしていけるので、その一部を公開します。

・通しのリハは実際の時間帯&曜日でやる
・中継現場への通信回線は二元化しておく
・スタッフ間の連絡は別系統(グループチャット的なものがよい)
・生放送にこだわる部分とそれ以外をうまく区別して構成

これらのポイント以外にも、今後に役立つ「おいしくて簡単なレシピ」が学べたことも書き添えておきます。

ニューノーマル×無限の可能性

まだ収束が見えない事態の中、私たちにできることとしては少しでも工夫を重ねて新しい適応の形を作っていくことしかありません。
ただ、その適応の先には新しい無限の可能性が広がっているようにも感じられます。

これまで物理的な制約(ハコの大きさ、ブッキング etc.)で限界があったものが、オンライン化することで自由度はおおきく拡がります。
今回、外食産業だけでなくエンターテインメントの業界もマイナスインパクトが強く出ています。それでもさまざまな工夫で乗り越えようとされていますので、私たちも技術的なチャレンジも含めお手伝いをさせていただきます。

私たちの仕事は個別の方法やツールが変わっても、本質的な部分ではこれまでの経験とノウハウが鍵になる仕事です。それはオンラインのライブやイベントにも同じことが言えます。

オンラインイベントの企画、中継・テロップ送出、オンライン配信、LP(告知用Webサイト)制作など一連の制作業務をワンストップで承りますので、お気軽にご相談ください。